![]() | ![]() |
第8話 オーストラリアのクリスマス2001年、クリスマス直前の一ヶ月をブリスベンとケアンズで過ごしてから、早いもので一年が経とうとしている。
当時、ブリスベンのキング・ジョージ・スクエアには巨大なクリスマス・ツリーが立ち、街はクリスマス商戦の真っ只中。クリスマスのデコレーションが溢れ、モールのステージではクリスマス・キャロルを聞くことができた。 ケアンズの宿のスタッフの女の子達は、ショーツとタンクトップやティーシャツでサンタの帽子をかぶった可愛い格好で迎えてくれた。 しかし、残念ながらクリスマス・デーの早朝にケアンズを発って帰国してしまったため、南半球で迎えるクリスマスも、ほんの一端を垣間見たに過ぎない。 暑い夏のオーストラリアのクリスマスを、オージー達はどんな風に過ごすのか。例によってウェブサイトを巡りながらちょっとばかりまとめてみた。 35℃のクリスマス Australian Christmas in summer ご存知のように、オーストラリアでは北半球とはまったく正反対の夏の季節にクリスマスを迎える。当然、白い雪にお目にかかることはなく、その替わりに、青い空と降り注ぐ太陽の下、時には35℃、地域によっては40℃を超える厳しい暑さの中で迎えるクリスマスなのである。 最近では、クリスマス・デーには家族や友達が屋外のバーベキューの周りに集まり、あるいはビーチで一日を過ごす。シドニー郊外のボンダイ・ビーチ Bondi Beach は、クリスマス・デーを楽しむ人々で一杯になる。 長い夏休みの中で迎えるクリスマスには、家族は遠くまで出かけて浜辺の別荘やキャンピング・キャラバン、あるいはブッシュのテントの中で、久しぶりに会う友人や他の家族と楽しい時を過ごすこともある。 自宅で過ごす人々も、プールで泳ぎ、裏庭でクリケットに興じる。 こんなオーストラリアでも、北半球から持ち込まれた伝統的なクリスマスの祝い方は今でも生きていて、街の広場や家庭にはクリスマス・ツリーが飾られ、街中に、トナカイに引かれたそりに乗ったサンタ・クロースなどのおなじみのデコレーションが溢れている。 しかし、夏空の下に聳え立つクリスマス・ツリーには、やはり何となく違和感を感じてしまう。 クリスマス・ツリー Christmas trees 街の広場やショッピング・センターのような公共の場所は大きなクリスマス・ツリーなどで美しく飾り付けられる。ほとんどの家庭でもクリスマス・ツリーが飾られ、サンタの運んできたプレゼントがその下に置かれる。 クリスマス・ツリーに使われる松の木 "pinus radiata" は、本来オーストラリアには自生していなかったものだが、建築用の木材として育てられ、それ以来見られるようになった。家庭では鉢植えのパイン・ツリーを持っているところもあり、1年に一度それが家の中に持ち込まれる。 中には、野生のユーカリの枝を使ったツリーも作られるが、いかにもオーストラリアらしい素材であるとは言え、とても本来のクリスマス・ツリーの雰囲気を出せるものではない。 最近では、環境保護の風潮から、プラスチック製のクリスマス・ツリーを使うところも多くなってきた。 木々や花々 Trees and flowers オーストラリアでは、一年中いろいろな時期にいろいろな木々が花を咲かせる。葉が落ちて裸の木々に寒風吹きすさぶ北半球と違って、オーストラリアのクリスマスは花で溢れている。 クリスマスの時期に花の咲く木々には、Christmas bells, Christmas bush, Christmas tree などのように、クリスマスにちなんだ名前が付けられているものもある。 右の二つ、Flame tree はケアンズのキュランダ鉄道の車窓から、Jacaranda はブリスベンのあちこちの公園でよく見かけた。
クリスマス料理 Christmas meals オーストラリアは今や世界中のいろいろな地域からやってきた人々から構成される多文化社会であるが、ほとんどの人々が特別な料理を準備してクリスマスを祝い合う。 一昔前までは、多くの家庭のクリスマス料理は、焼いた七面鳥、野菜やフルーツ・ケーキやプディングなど、欧米の伝統的なものと同じようなものだった。ゴールド・ラッシュ時代のオーストラリアでは、しばしばクリスマス・プディングの中に小さな金の粒を入れて焼いたりしたものだが、「金」が「コイン」に代ったものの、この習慣は今でも一部に残っているそうだ。 最近では、クリスマス料理も暑い夏に合ったものに変わりつつある。35℃の気温の中で熱い料理を食べることは決して心地よいものではなく、人々は冷たい肉料理やサラダ、シーフード、マンゴーやポウポウ、西瓜などの熱帯産のフルーツを食べるようになってきた。クリスマス・ディナーはしばしば、外で楽しむクリスマス・ランチに取って代られることもある。 クリスマス・キャロル Carols by Candlelight 大きな街では、クリスマスを前にした1、2週間、公園や広場でクリスマス・キャロルが開催され、何千人もの人々が集まってお気に入りのクリスマス・ソングを合唱する。暗くなるにつれてローソクの灯が点され、平和な雰囲気を醸し出す。 Carols by Candlelight は、1937年にメルボルンのラジオ・アナウンサー Norman Banks によって始められたと言われており、今ではラジオやテレビで全国、全世界に放送されて、自宅でも楽しむこともできる。 歌われる曲は、伝統的なキャロルのほか、"Six White Boomers" や "Santa Never Made it into Darwin" などのオーストラリア独特なものもある。
サンタクロース Santa Claus and Father Christmas
サンタ・クロースは、オーストラリアでもちゃんと赤い服を着ている。ただ、ズボンが半ズボンだったり、裸足だったりして面白い。以前、「オーストラリアのサンタはサーフ・ボードに乗ってやってくる」という話を聞き、これもオージー独特のジョークだろうと思っていたのだが、実際に、シドニー郊外のボンダイ・ビーチなどでは、サーフ・ボードや救命ボートに乗って現れるサンタがいるそうだ。 1977年に発行された切手には、ご覧のように、ちゃんとボードに乗ったサンタさんが描かれている。 トナカイではなくカンガルーに引かれたそりに乗って疾走するサンタの絵を見つけたが、いくらなんでもこれは冗談だろう。
ボクシング・デー Boxing Day クリスマス・デーの翌日12月26日は、ボクシング・デーと呼ばれる祝日になっている。 ボクシング・デーの起源は少なくとも中世まで遡り、クリスマスに教会の義捐金の箱を開けて貧しい人に分配することに由来するものであったが、祝日になったのは20世紀になってからのことである。 オーストラリアのボクシング・デーは、沢山の食事と飲み物に加えて、日中テレビでスポーツ・イベントを観戦しながらアーム・チェアでのんびりする機会が与えられる、大変贅沢な休日である。もっと積極的な人は、実際にメルボルン・クリケット・グランドのテスト・マッチやシドニー〜ホバートのヨット・レースに出かけるか、近所のスポーツ・イベントに参加するか、あるいはビーチに出かけてのんびりすることもできる。 若い世代では、ボクシング・デーの由来を知らない人も多いようで、ケアンズであったオージーは、ボクシング・デーは「クリスマス・プレゼントの箱を片付ける日」だと教えてくれた。
|